特徴を生かした使用例
パワートロン始動器の特徴を生かした使用例(その1)
船舶バウスラスター(船を接岸させる時に船を横方向に移動させる機械)
船舶は発電機を使いますが、船内の電動機の中でバウスラスター用電動機が通常最も大きな電動機となります。その電動機を始動させる為に発電機の容量が決められます。 A造船所では建造船に690KW AC440V 60Hz 4Pの容量のバウスラスタを装備する事になった。そのバウスラスターを始動するために必要な発電機の容量は従来の始動方法で考えると 1,552KVAの発電機が必要であった。 パワートロン始動器を使用すると 880KVA発電機容量で十分になり、672KVA発電機を低減する事が出来て大きくコストを下げる事が実現しました。 現在では日本国内のほぼ全造船所で大型電動機用始動盤にパワートロン始動器が採用されています。詳しくは納品実績をご覧ください。 発電機の計画時には下記の様に始動時の特性をシュミレーションする事により、電流等各諸元値をほぼ正確に推定する事が出来ます。 それによって発電機の容量を決定します。
■シュミレーション結果
始動時のトルク、電流、加速、入力KW、電圧、時間の推移を上の様にグラフを書かせる事にします。実際のテスト以前にほぼ正確に始動時の状況が推定出来ます。
下記のシュミレーションより、自動的に発電機の必要な容量が算出されます。
その結果次の様になります。
- PG1: 定常時発電機容量 880.10KVA
- PG2: 発電機電圧降下が15%の発電機 443.24KVA
- PG3: 始動時最大負荷の発電機容量 692.63KVA
上記の PG1,PG2,PG3を比較してその最大値が発電機の容量とします。
この場合PG1=880.1KVAが発電機の容量になります。
![]() |
上記の様に試算する事によって、発電機が非常に小さくする事が出来ますので、イニシャルコスト及び ランニングコストが大幅に低減できます。サイドスラスタ、ベルトコンベアー、コンプレッサー送風機、カーゴポンプ等本船上で最も大きな機器に採用しますと、実績では1,000KVAの発電機が要らなくなった例も数多くあります。 |
■シュミュレーション結果
各項目をクリックしてください。
電動機特性 | 電動機始動特性 | 時間軸諸元値の変化 |
回転数諸元値の変化 | 発電機容量試算表 | 試算結果 |
パワートロン始動器の特徴を生かした使用例(その2)
シールドマシンカッター用電動機に使用した例
30Kw電動機5台 150Kwのカッター電動機に採用
従来の方式 | パワートロンの時 | |
電動機容量 | 30KW | 30KW |
---|---|---|
電動機の数 | 5台 | 5台 |
始動器の数 | 5台 | 1台 |
クラッチの数 | 5台 | 0 |
始動方式 | 直入順次始動 | 一括ソフト始動 |
正逆切替手順 | 正転→停止→クラッチoff →逆転切替→順次始動→クラッチon運転 |
正転→停止 →逆転運転(ワンタッチ運転) |
始動盤の大きさ | 大 | 小 |
マシンの長さ | 長 | クラッチ分だけ短い |
コスト | 100 | 60 |
![]() |
パワートロン始動器を使用した時のメリット
現地掘削実績データはこちらです。 |
パワートロン始動器の特徴を生かした使用例(その3)
排煙機に使用した例
![]() |
排煙及びブロアーは始動トルクに比較して慣性モーメント( GD 2 )が大きく排煙機が立ち上がるまで大きな入力が必要になります。 そのため発電機試算容量より大きな入力が必要となってしまい検査に問題が生じる事が多々あります。 この時パワートロン始動器の“定電流始動方式”を採用すると非常に小さな入力で始動する事ができます。 |
![]() |
![]() |
※画像をクリックすると拡大画像が表示されます。
右図はスターデルタ方式をパワートロン方式にした例
上図は左−ソフト始動 右図の定電流始動方式に変えた実績です。
パワートロン始動器は消防用単独始動盤として認定されています。
認定証 発行 No. | 制 74 |
---|---|
受付 No. | 制御 74 |
種別 | 単独制御盤 |
型式記号 | ENC |
型式番号 | PM-074号 |
社団法人 日本内燃力発電設備協会の自家発電設備出力計算書式には連続電圧制御始動記号 VCとして算出係数に組込まれております。
この記号VCを入力して計算しますと、既存する始動方式の中で最も小さな発電機の容量になります。また制御盤の容積、重量は非常に小さく省スペースが計られます。
シュミレーションを行う事により装備以前に始動電流、始動入力、発電機容量、始動時間等を事前に確認する事が出来ます。難しい案件が自信を持って検討出来ます。